タイトル:住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編 北海道(1~3地域)版版 第2版(令和3年3月)

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概要

電子ブック:住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編 沖縄(8地域)版 第2版(令和3年3月) 〈改正〉平成28年省エネルギー基準対応

第2章北海道の住宅づくり2.北海道の住宅づくりの基本条件2.1.住まいづくりに求められる視点わが国は温暖化問題や大震災を契機としたエネルギー問題に直面しており、低炭素型の社会をつくることが大きな課題となっています。第2章早急に取り組まねばならない民生部門のエネルギー対策のために、小規模住宅・建築物の省エネルギー性能に係る説明義務制度が2021年4月に施行され、住宅の設計・施工技術者も省エネルギー化のための適正な技術習得が求められています。また、省エネルギー性能を基準に適合させるだけではなく、住宅建設そのものに要する資源の削減や環境負荷の低減を図ることも重要です。さらには、居住環境の快適性や建物の耐久性、地域の気候風土にしっかりと根差したその地域ならではの魅力的な住宅づくりも大切な視点です。(1)省エネルギー図2.1.15で示すように、これまでの省エネルギーの取組みにもかかわらず、北海道の住宅の消費エネルギーはあまり減っていません。暖房空間・暖房時間の拡大や、利便性・快適性への要求の高まりから給湯や家電製品のエネルギー消費が増加していることが影響していると考えられます。更なるエネルギー消費の削減には、省エネルギー基準を満たすべき最低水準と認識し、躯体の断熱強化、日射取得熱を考慮した開口部の計画、高効率な設備の採用をできる限り進めることが必要です。また、建築物の敷地周囲の状況をよく理解して通風や日射遮蔽、雪処理の計画を行い、冷房や融雪エネルギーの削減に配慮することも重要です。(2)快適性との両立断熱は快適な室内づくりにも大きな役割を果たします。断熱性能の向上によって、足元のぞくぞくする寒さや結露・かびの被害は過去のものとなり、冬でも温度差の少ない穏やかな室内環境を実現できます。夏は屋根や壁面からの熱の流入を減少させ、室内表面温度の上昇を抑えます。快適な環境の実現のためには、必ずしも一定環境を維持する必要はなく、穏やかな変動を許容しながら、居住者自らが設備の運転、通風・日射のコントロールを行えるよう、わかりやすい建築・設備のあり方も求められます。(3)耐久性の向上近年の新築住宅では少なくとも結露のような障害によって修繕、建替えを余儀なくされることは、かなり少なくなりました。しかし、躯体、設備とも経年劣化は避けられず、維持保全をしやすくするか、十分な長期性能を確保する対応が必要です。換気設備は日常のメンテナンスによって性能が大きく変わる代表例です。シーリング材に頼った外装・屋根防水、数年で補修が求められる外部仕上げにも改善の余地があります。021